GitHub Enterprise Cloudでは、Copilot BusinessやCopilot Enterpriseに含まれるAI Creditsは、これまでEnterprise全体で共有されていました。

この仕組みでは、複数のOrganizationを運用している企業で困るケースがあります。
例えば、
- Organization AにはClaude Opusを積極的に利用するヘビーユーザーが多い
- Organization Bは通常利用のみ
という状況だったとします。するとOrganization Aが大量にAI Creditsを消費し、Enterprise全体のAI Credit Poolが枯渇してしまう可能性があります。

その結果、
- Organization Aのライトユーザー
- Organization Bのユーザー
まで通常利用ができなくなり、追加料金が発生する状態になってしまいます。


ヘビーユーザーを支えるための養分

企業リソース有効活用って面だけでは語れないね。
もちろんUser単位のBudgetを設定すればある程度防ぐことはできますが、ユーザーごとの設定・管理は決して楽ではありません。
「Organization単位でAI Credit Poolを分けられればいいのに」
そう感じていたEnterprise管理者も多いでしょう。
今回追加されたCost CenterごとのAI Credit Poolsは、この課題に対する新しい選択肢となります。
参考:https://github.blog/changelog/2026-07-20-ai-credit-pools-for-cost-centers-in-the-billing-ui/
Cost Center単位でAI Credit Poolを扱えるようになった
今回追加された機能では、Cost CenterごとにAI Creditsの利用上限を設定できるようになりました。
重要なのは、
AI Creditsを事前に分配する機能ではなく、「Cost Centerごとの利用可能な上限」を設ける機能
という点です。
動作イメージ
例えば次のような構成を考えます。
- Cost Center #1:3人
- Cost Center #2:2人
Copilot Businessでは、1ユーザーあたり毎月1,900 AI Creditsが付与されます。
そのため、
- Cost Center #1 → 5,700 AI Credits
- Cost Center #2 → 3,800 AI Credits
までEnterpriseのAI Credit Poolから利用できます。


もしCost Center #1が5,700 AI Creditsを使い切った場合、その後の利用はEnterpriseの共有Poolからは消費されず、追加料金の対象になります。

一方でCost Center #2は、自身の上限である3,800 AI Creditsまで引き続き利用できます。
つまり、ある部署の大量利用によって、別部署まで影響を受ける状況をある程度防げるようになりました。
Cost Center未所属ユーザーは従来どおり
一方、Cost Centerに所属していないメンバーは従来どおりEnterprise全体のAI Credit Poolを利用します。

ここで少し注意したいポイントがあります。
Enterprise全体のAI Credit Poolが枯渇すると、
たとえCost Center側の利用上限まで使っていなくても、その後はEnterprise Poolから利用できなくなり、追加料金の対象となります。
つまり、
Cost CenterへAI Creditsを事前に取り分けて確保しているわけではありません。
あくまで
「このCost CenterはここまでEnterprise Poolを利用してよい」
という制限を設けているだけです。

このようなケースを避けたい場合は、
- すべての利用者をCost Centerへ所属させる
- User Budgetを併用する
といった運用が考えられます。
設定する際の前提
少し意外だったのですが、Cost CenterへAI Credit Poolを適用するには、対象として指定できるのは次のどちらかです。
- Memberを直接指定
- Enterprise Team
現時点ではOrganizationを直接指定することはできません。
Organizationを指定した状態では、AI Credit Poolを有効化できない仕様になっています。
どのように運用するのがよい?
パターン1:Memberを直接登録
もっともシンプルなのは、Cost CenterへMemberを直接登録する方法です。
Cost Centerへ登録されていないユーザーは引き続きEnterprise全体からAI Creditsを消費します。
パターン2:Enterprise Teamを利用する
もう一つはEnterprise Teamを利用する方法です。
特にIdP連携(Microsoft Entra IDやOktaなど)を利用してEnterprise Teamを管理している環境では、有力な選択肢になりそうです。
アクセス制御とCost Center管理を同じTeamで管理できれば、設定漏れも減らせるでしょう。
AI Creditsの消費状況は確認できる?
利用状況はUIだけでなくREST APIからも取得できます。
参考:https://docs.github.com/ja/enterprise-cloud@latest/rest/billing/cost-centers?apiVersion=2026-03-10
/enterprises/{enterprise}/settings/billing/cost-centers
を利用すると、
target_amountcurrent_amount
などを取得でき、Cost Centerごとの利用状況を監視できます。
ダッシュボードへ組み込んだり、一定割合を超えたら通知するといった運用もしやすそうです。
Organization単位のAI Credit Poolはどうなる?
以前から要望の多かった
Organization単位でAI Credit Poolを管理したい
という機能ですが、現時点では実装されていません。
GitHub側も要望が多いことは認識しているようですが、現状を見る限りでは優先度はそれほど高くない印象です。
今回のアップデートもOrganizationではなくEnterprise Teamを中心とした設計になっています。
そのため今後は、
- Enterprise Teamを軸に権限管理する
- Cost CenterもEnterprise Teamで管理する
という運用が標準になっていくのかもしれません。

一部、GitHub Copilotのウェビナーで聞いた内容の抜粋です。
まとめ
これまでのAI Credit PoolsはEnterprise全体で共有されていたため、一部のOrganizationが大量に利用すると、他Organizationまで影響を受けるという課題がありました。
今回追加されたCost Center対応によって、部署やチームごとに利用上限を設定できるようになり、より現実的な運用が可能になります。
一方で、AI Creditsを事前に確保する仕組みではなく、「Enterprise Poolから利用できる上限」を設定する機能である点は理解しておきたいポイントです。
また、Organization単位ではなくEnterprise Teamを軸に設計されていることからも、今後GitHub EnterpriseではEnterprise Teamの活用がさらに重要になっていきそうです。
Enterprise管理者としては、この機会にTeam構成やCost Centerの運用方法を見直しておくと、将来的な管理もしやすくなるでしょう。


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