2022 システムアーキテクト 合格体験記

IT資格
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IPA主催(2022年4月)のシステムアーキテクトに合格したため、体験記として書きます。2回目の挑戦でした。今後受験される方のお役に立てれば幸いです。

本記事のポイント
  • 全体スケジュール
  • 午前2・午後1・午後2の勉強方法や利用した教本
  • 当日の対応

<私の受験理由>
システムアーキテクトは午後2の論文が難しそうだったため、暫く受けていませんでしたが、自己啓発を兼ねて、受けてみることにしました。本当は、応用情報技術者が受かった段階で、勉強を重ねてチャンレンジすべきかなと思います。

システムアーキテクトとは

以下、wikipedia (システムアーキテクト試験)より抜粋です。

システムアーキテクト試験(システムアーキテクトしけん、Systems Architect Examination、略号SA)は、情報処理技術者試験の一区分である。試験制度のスキルレベル4(スキルレベルは1~4が設定されている。)に相当し、高度情報処理技術者試験に含まれる。対象者像は「ITストラテジストによる提案を受けて、情報システムまたは組み込みシステムの開発に必要となる要件を定義し、それを実現するためのアーキテクチャを設計し、情報システムについては開発を主導する者」。

簡単に言えば、システム開発の上流工程の基本知識があることを示す資格です。年に1回(4月)に試験が開催されていて、午後2は論文記述で手が疲れます。

それでは本編いってみましょう!

全体スケジュール

ダラダラと時間はかけたくない!というのがあったので比較的に短期決戦です。

1回目の挑戦時は次のスケジュールでした。

  • 2月上旬:午後1
  • 3月上旬:午後2
  • 3月下旬:午後1&午後2
  • 4月中旬:午前2

※午前1は免除です。
※午後2の対策時間が一番大きかったです。

2回目の挑戦時は次の通りです。

  • 3月上旬:午後1
  • 3月下旬:午後1&午後2
  • 4月中旬:午前2

人によっては午後2に時間を割くパターンもあると思います。私の場合、応用情報技術者試験から時間もかなり経過していたため、午後1から進めました。

また、1回目の試験時は午後1が赤点だったため、2回目の試験時は午後1にかける時間を重視しました。午後1特有の解法を強化したつもりです。さらに午後2のネタがそれなりに揃っていたため、2回目の午後2対策時間は少なめです。

今思えば、1回目の時に午後1の解法をもっと学ぶべきだったかと思います。しかし、問題の相性というのもあるため、私の場合、限界はあったかも(午後1の見出しで解説します)。

ところで1日に費やした勉強時間は?

1日1時間~2時間程度だね。本当は1日2時間を基本に土日に5時間とか勉強したかった・・・。しかし、仕事・家事・育児(3人分)をしながらだと、なかなか厳しいのです。だから勉強時間は5時~6時、20時~21時が多かったかな。後は昼休みとか。

午前2の勉強

直近2回分の試験を除く、過去問の繰り返しが基本です。

私の場合、以前の午前対策の参考書があったため、それをベースにしています。ただし、少しだけ古い参考書だったため、不足分はIPAのホームページから過去問を印刷して学習しました。100%回答できるように暗記もしながら、ちゃっちゃっと対策します。

午前対策本、他の高度試験にも使えます。

試験日の1週間前からの対策でOKかと思います。1日の勉強時間がたくさん取れれば、3日前からでも良いかなと思います。意外となんとかなります。ただ、前回試験からのブランクがあまりに大きい場合は、この限りではありません。

私の場合、午前対策でも教本を併用していますが(午前でも問題によっては解説をちゃんと読みたいため)、IPAの過去問だけの場合、25問×10年分は実施すべきと考えます。それでも学習した250問から同じ問題が出題される量は半分あるか、ないか、でしょうか。

午前問題の場合、暗記は最重要ですが、問題によっては解答の意味をちゃんと理解しておけば、類似問題にも対応できることが多いです。

午後1の勉強

4問出題され、2問を選択・回答する必要があります。

1~3問目は情報システム系の分野、4問目は組み込み系の分野です。

問4(組み込み系)の選択は?

4問目は毎回、組み込み系の問題が出題されます。比較的にとっつきやすい感覚があるのですが、ここ数年の難易度は高いです。直近の2問程度を解いて、本当に選択すべきかを考えたほうが良いです。

私は1回目の試験の時、選択の1つは問4でした。やはり難しい傾向は変わってなくて、うまく解くことが出来ませんでした。試験前の勉強時にしっかりと判断しておくべきです(1回目の時はあまり考えてなかった)。

私は市販の教本を基本に学習し、合計15問程度を解きました。

色々と学習した中で、私が気を付けた点は次の通りです。

  • 解く際、すぐには答えをみない。
    分からない問題は、別途時間を設けてじっくり考える。
  • 誤った問題は、理由を分析。教本も見直す。
  • 2週間程度間隔を空けて、再度解く。
  • 時間配分を意識する。
    1問45分としてわからない問題は後回しにするなど。

教本は手軽に書き込むことを考慮すると、買ったほうがいいです。印刷の手間やコストを考えると、結構安上がりなんですよね。色々な教本がありますが、1回目の時はプロジェクトマネージャ対策本としても有名な「翔泳社」のうかる!シリーズを購入しました。

売上No1!うかるシリーズ。

・・・ただし、問題の解説具合はかなり淡々としていて普通です。三好さんのプロマネ本の時にみたいに濃くないです(プロマネ本が特別に濃すぎる)。ただ、問題の量は豊富です。午後2論文のサンプル解答もそこそこのボリュームです。

午後1が苦手で少しでも強化したいのであれば、以下の教本もお勧めかなと思います。実際に購入する前に自分に合う合わない等の確認も必要ですが、解説が先の教本よりは詳しいです。

重点シリーズも結構人気です。

両方とも新品で揃えるとそれなりの値段になるため、片方を新品、片方を古本(書込みが少ないもの)を選択するのもありでしょう。国語力を含むセンスや各種情報システムの経験が豊富な人は教本1本だけでも合格できると思います。


情報システム系(問1~3)で、どんな問題を選択すればいいのかな?

本当に色々な問題が出ますけど、販売管理システム系は難易度が高く感じますね。分野的に理解できそうな問題を選択すべきかと思います。ただ、H27 午後1問2「自動販売機の移行」のように、それとなくイメージしやすい内容に関わらず、高難易度ってこともあります。

半製品、仕掛品、売掛金、買掛金・・・。

情報システムでも分野によっては???が連発。


解法テクニックはあるのだろうか?

人によって回答のアプローチは変わるとは思いますが、システムアーキテクトの午後1の場合、全体的に読み込まないと、設問に答えるのが難しい問題が多いです。ただし、最初に全体の見出し部分をチェックし、どこに何が書かれているかを確認した上で読み込んだほうがいいかもしれません。私は、その上で重要そうな単語や「ただし」といった接続詞にしっかり○などで書き込みしました。

午後2の勉強

午後2について

3問出題され、1問を選択・回答する必要があります。

1,2問目は情報システム系の分野、3問目は組み込み系の分野です。組み込み系は選択の余地がないため、不利です。余程の自信が無い限りは選ばないほうが無難と思います。情報システム系であれば選択肢が生まれるため、やはり有利ですね。

午後2の回答は論文です。問に対して設問ア、イ、ウがあり、ア/イ/ウ=600/1200/800文字等といった量を書く必要があります。この量って実際に試してみるとかなり大変です。

  • 設問ア:システムの概要など
  • 設問イ:メインテーマ
  • 設問ウ:課題や追加工夫など

※設問ア~ウで問われる内容は問題によって異なります。

私の対策

さて、午後2ですが、テーマ・設問に対応できるようなネタをたくさん考えておくことが一番です(骨子の作成)。私は市販の教本を基本に学習し、合計14問程度に対して答えるようにしておきました。ただし、どうしても経験不足の問題は諦めることにしました。情報システム系の場合、このような場合は、もう片方を選択すれば良いのでやはり有利です。

午後2の学習において、私が気を付けた点は次の通りです。

  • テーマを準備しておく(基幹系システムやWEB販売システムなど・・・)。
  • 設問の問われていることを理解して回答を準備する。
  • 回答の工夫・派生を準備する。

特に回答の工夫は重要です。単純に「~した」という「したした」論文は採点者に対するアピールに繋がらず文字数を満たしても「B判定」になる可能性が高いでしょう。

だれが?なぜ?どのように?など・・・全部じゃなくても良いので「5W1H」を意識すると良いです。あるいは、選択肢を述べて選定理由を考えて回答するのもありです。例えば「方式設計の工夫」でA案、B案を書いて、問に対する背景やメリット・デメリットを考慮してA案に決めた・・・という流れもありです。ただ、それだけだと設問ウなどで書くことが不足することがあるため「課題」も揃えておきます。

ところで基本テーマは何を準備したの?

個人的にイメージしやすい「チケット管理」「集計」等のシステムを題材に派生させたよ。ネタを持ってない部分は盛った。システムアーキテクトならこうするよねって風に。あと、緊急用のネタにWEB販売システムに関する知識を少しだけ仕入れたりもした(全然使わなかったけど)。

試験時間は2時間ありますが、私が目指した時間は配分は次の通りです。

  • 受験番号記入+問題選択:6分
  • 骨子:20分
  • 概要シート:4分
  • 設問ア:20分
  • 設問イ:40分
  • 設問ウ:25分
  • 予備:5分

手で記述する速度を考慮すると、書き始めてからはノンストップで、手が痛くなっても、進める必要があります。途中で悩んだりして書くことを止めてしまうと、確実に時間不足になります。そうならないために設問ア~ウに対する骨子の作成練習に最も時間をかけました。ネタがなければネットや教本から収集して、骨子を作成できるようにします。

全体を通して2000文字以上を書く練習は、連続した時間の確保が必要になるため、私はほとんどしませんでした(1回目の受験時は2回程度、2回目の受験時は未実施)。ただ、パソコンでネタを整理したりするのはよくやりましたが、骨子の作成は紙に何回も書きました。

ネタの妥当性をチェックする手立てはあるのかな?

定期的に作成した骨子などの内容は見直そう。システムアーキテクトとしての考え方(全体最適など)から外れてないよね。後は問題に対する採点講評(IPAの解答例ページから入手可)を見て、論点が外れていないか・・・とか。

さらに、設問ア~ウの繋がりに矛盾はないか。客観的に見てチープな内容じゃないか(技術的なアピールポイントがあるか)。

2022/7/8に令和4年の午後2問2の採点講評が次のように出ていました。

問2では、多くの論述で、現行の業務をデジタル化した場合に生じる課題を想定し、検討した対応策について具体的に論述していた。一方で、現行業務の課題をデジタル化で解決するといった趣旨に沿っていない論述や、問題文の事例をなぞっただけで受験者の工夫がうかがえない論述も散見された。システムアーキテクトは、デジタル化によって業務が大きく変わった場合に生じる課題を想定し、利用者が情報システムを活用して円滑に業務を遂行できるよう、課題の解決策を提案することを心掛けてほしい。

趣旨に沿っているか、工夫ができているか、見直しは大事です。

受かるシリーズはサンプル論文もそこそこ掲載されています。

他に準備したこと

他に準備したことはあるの?

思い出せる範囲で書いていくね。

  • 漢字、論文作法
  • システム開発の基本
  • 流行り

■漢字、論文作法

骨子の作成時や、論文を通しで書くと「漢字」が書けないことが多々あります。かけなかった漢字はメモしておいて、適宜練習しておきましょう。さらに、論文のお作法を最低限は抑えておいたほうが良いです。例えば「。」「、」が次の行になる場合は行末に含めるなどです。

  • ~と考えた。
    「。」が行末のマスに入らない場合、「た」「。」は同じマスでOKです。

■システム開発の基本

システム開発の基本になりますが、以下は再度整理しておくと良いです。

  • 業務要件
  • 要件定義(機能要件や非機能要件も)
  • システム方式

基本設計や外部設計と呼ばれることもありますが、初心に返って改めてインプットしておくと、記述範囲がブレなくて良いです。業務要件の問なのに、要件定義をたくさん書いてもアピールどころか、減点対象になるでしょう。

■流行り(予想問題と関係)

念のため心配で以下を行いました。

スクラム関係に関する問題が出ないとは限らないため「スプリント」「ストーリーポイント」等の基本用語に加えて、スクラムの時のシステムアーキテクトの立ち回りってどんなだろう?っていう基本知識に念のため触れました。また、時代的にDXが流行っているため、DXの関する知識も若干は仕入れました(単純にデジタル化して効率化するカイゼンとは違う点など)。

結果的にこうした内容は出題されませんでしたが、何かで役に立つでしょう。前向きにいきましょう。

試験当日・感想

試験当日の立ち回りなど、記憶に残っていることを書きます。

受験票(写真有)・筆記用具といった持ち物をしっかりと準備し、時計はしっかりと秒単位まで合わせておきます。実際の試験では試験官の時計に合わされますが、私の時計と秒単位で一致していました。本当に時間が足りない時は秒単位で知りたいものです。

今回、午前1は免除だったため、余裕をもって10時過ぎに会場入りです。


■午前2

淡々と解きます。全く見たことない問題もそこそこありますが、消去法で絞り込んで解いていきます。問題ありませんし、時間も余裕です。午前で落ちるのは悔しいため落ちたことはありません。

>試験結果:84/100


■昼休み

コンビニで購入したパンを食べた後に、コンビニに行ってコーヒーを買いました。天気が良かったため、コーヒーを飲みつつ、庭を散歩します。今更感があったので、とことんリラックスです。


■午後1

問題1~3でどれを選択すべきか・・・。内容的に解きやすそうな問題を選択していきます。後から選択しなかった問2を少し解いてみましたが、これは難しい・・・。恐らく選択していたら、私は不合格だったでしょう。

>試験結果:64/100

・・・以外とギリギリなんですよね。私は午後1が苦手です。


■午後2

午後2は正直困りました。

  • 問1:概念実証(PoC)を活用した情報システム開発について
  • 問2:業務のデジタル化について

問1は内容的に選択外です。問2は「業務のデジタル化」という漠然としたタイトルですが、問題内容を読む限り、「紙媒体の廃止」に触れないとダメっぽいです(在宅増えたからね)。

まじか・・・。

そんな題材は準備していない・・・。

しかし、諦めるわけにはいきません。職場の申請関係って今は全部WEBだけど、恐らく昔は紙媒体で色々な人を通して承認手続きしていたんだろうなっていう想像を働かせながら、急いで骨子を作成していきます。

・・・しかし、上手に骨子が書けないまま、30分が経過してしまったため、少しずつ書き始めることにします。けど、書き始めてみたものの、考えながらになってしまうことで、うまく書けません。結果的に設問アで35分程度を使ってしまい、メインの設問イでもかなりの時間を消費してしまいますし、文字数は1000文字程度しか書けません。なんと設問ウに入るころには残り時間が20分程度しかありませんでした。20分で設問ウの最低ラインである600文字を書くのって、めちゃくちゃ大変です。

ネタはどうやって揃えたの?

午前2の問題も思い出してネタを盛ったよ。

例えば、新システムの構築には新旧の物理モデル、論理モデルを考えて・・・ってがありました。これを論文に落とし込んでみたり。後は、最近はセキュリティも厳しいため、ユースケースや選択肢を色々と書いた上で、リスクベース認証を盛り込んでみたり・・・。私はシステムアーキテクトで最低限の知識はあります、というアピールを叩き込んだ結果、ギリギリの結果判定だったんだと思います。

>試験結果:A

自分が準備した題材が出題されなくても、勉強してきた知識は生かすことが出来ます。諦めずに前向きにいきましょう。


まとめ

システムアーキテクト試験合格の体験記を色々と書きました。

  • 午前1は過去問を繰り返し解く。
  • 午後1は過去問を繰り返し解いて、解法テクニックや問われている点を抑える。
  • 午後2はネタを集めて問題に対して骨子をスムーズに作成できるようにしておく。

色々な教本があるように、その人自身に合った方法があると思います。まずは一通り対策してみて、何が苦手なのかわかった上で色々とアプローチしてみましょう。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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